「ジャズの有名な曲を日本で探しているけれど、何から聴けばいいか分からない」「テレビやCMで聴いたことはあるけど、曲名が思い出せない」と感じていませんか。
ジャズと一口に言っても、日本での「有名性」はとてもユニークです。
例えば、アニメやCMで使われた曲が国民的な知名度を持っていたり、学校の吹奏楽で演奏される定番曲が世代を超えて知られていたりします。
また、初心者が聴きやすいスタンダード曲から、上原ひろみさんのような世界的な日本人ピアニストの活躍、さらには椎名林檎さんやJ-POPアーティストによる邦楽のジャズ風カバー、ジブリのカバーまで、その入口は多岐にわたります。
この記事では、なぜそれらの曲が日本で有名になったのか、その背景や文化的ないきさつに注目しながら、皆さんが「聴いたことのある」曲を整理していきます。
- CMやアニメで使われた有名なジャズ曲
- 吹奏楽の定番となった日本のジャズ
- 世界で活躍する日本人ジャズアーティストの代表曲
- J-POPや邦楽におけるジャズの影響
ジャズの有名な曲と言えば?日本でのヒットの背景

私たちが日本で「ジャズの有名な曲」と聞いて思い浮かべる曲は、実は2つのパターンに分けられると考えています。
一つは「日本で有名な海外のジャズ・スタンダード」、もう一つは「日本人が作った有名なジャズ曲」です。
ここではまず、海外の曲も含め、テレビやCMなどを通じて日本のお茶の間に浸透した曲が、どのようにして有名になったのかを見ていきましょう。
アニメで聴いた有名曲(ルパン、ビバップ)
日本において、ジャズの知名度を飛躍的に高めた最大の功労者の一つがアニメだと私は思います。
ルパン三世のテーマ
大野雄二さん作曲の「ルパン三世のテーマ」は、まさに国民的ジャズ・ナンバーですね。
1977年のリリース以来、何度もアレンジを変えながら愛され続けています。
ジャズ、特にビッグバンド・フュージョンの格好良さを、世代を問わず日本の「お茶の間」に届けた功績は計り知れません。
Tank!
菅野よう子さん率いる「SEATBELTS(シートベルツ)」による『カウボーイビバップ』のオープニング曲「Tank!」も外せません。
90年代後半の作品ですが、その攻撃的でスリリングなビッグバンド・ジャズは、国内だけでなく海外でも「日本発のクールなジャズ」として高い評価を得ています。
FIRST NOTE
最近のヒットで言えば、映画『BLUE GIANT』は外せないでしょう。
ピアニストの上原ひろみさんが手掛けた劇中音楽、特に「FIRST NOTE」は、若年層に再びジャズの熱さを伝えることに成功したと感じます。
CMやテレビで有名なジャズ曲
日常的に耳にするCMやテレビ番組のテーマ曲も、ジャズを身近なものにしています。
曲名は知らなくても、メロディは誰もが知っている、という曲が多いのが特徴です。
- I am(森田真奈美)
テレビ朝日系『報道ステーション』の元オープニングテーマです。2011年から5年間も使用されたので、このピアノの旋律を記憶している人は多いはずです。 - My Favorite Things
JR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンで長年使われているスタンダード曲。原曲はミュージカルですが、日本ではこのCMの優雅なアレンジで広く知られるようになりました。 - Take Five
デイヴ・ブルーベック・カルテットによる変拍子の名曲ですが、日本ではアリナミンVドリンクのCMソングとして記憶している方も多いでしょう。 - Beyond the Sea
サントリーのCMなど、お酒のCMでは昔からジャズがよく使われます。「酒とジャズ」という組み合わせのイメージは、こうしたタイアップによって定着してきた側面があると考えられます。
吹奏楽の定番曲(T-SQUARE)
日本独自の文化的背景として、「吹奏楽」の存在は非常に大きいと私は考えています。
特にT-SQUARE(旧称 THE SQUARE)の「Takarajima(宝島)」は、その代表格です。
1986年に発表されたフュージョン曲ですが、編曲家の真島俊夫さんによる吹奏楽アレンジ版が登場したことで、状況は一変しました。
全国の中学・高校の吹奏楽部で「コンクールの定番曲」「文化祭で盛り上がる曲」として定着し、吹奏楽を経験した人なら誰もが知る曲となったわけです。
同じくフュージョンバンドのCASIOPEA(カシオペア)による「Asayake」なども、そのテクニカルな演奏からコピーの対象となり、人気を博しました。
また、2004年の映画『スウィングガールズ』の大ヒットも決定的でした。
劇中で女子高生たちが演奏したベニー・グッドマンの「Sing, Sing, Sing」は、この映画をきっかけに「ブラスバンドで演奏する楽しい曲」として、吹奏楽のレパートリーに加わったと言えるでしょう。
フュージョンの世界をもっと知る
T-SQUAREやカシオペアに代表される、テクニカルで聴きやすい「フュージョン」というジャンルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

初心者も聴きやすいスタンダード
「ジャズを聴いてみたい」という初心者の方にとって、日本で有名な曲は絶好の入口になります。
特に、CMなどで使われたスタンダード曲は、メロディが美しく聴きやすいのが特徴です。
- Don't Know Why(ノラ・ジョーンズ)
ポップスに近い聴きやすさで、日本でもJTのCMに使われ大ヒットしました。ジャズ・ボーカルの入門として最適です。 - Fly Me To The Moon(フランク・シナトラなど)
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマとして使用され、日本での認知度が一気に高まりました。 - Moanin'(アート・ブレイキー)
「これぞジャズ」といった雰囲気を持つ、ブルージーで格好良い曲。ジャズ入門の定番です。
ジャズの有名な曲と言えば?日本が生んだ名曲

ここまでは、海外の曲が日本で有名になったケースも含めて見てきました。
しかし、日本にも世界に誇る素晴らしいジャズ・アーティストと名曲が数多く存在します。
ここでは「J-Jazz」とも呼ばれる、日本人アーティストによる有名な曲に焦点を当ててみましょう。
日本人ピアニストの代表曲(上原ひろみ)
現代の日本のジャズシーンを語る上で欠かせないのが、世界的なピアニストの活躍です。
特に上原ひろみさんは、その圧倒的な演奏技術とエネルギーで世界中を魅了しています。
グラミー賞受賞経験もあり、その代表曲「Alive」や「Spectrum」、そして前述の『BLUE GIANT』に提供した「FIRST NOTE」などは、彼女の国際的な評価を象徴する曲と言えます。
また、同じくバークリー音楽院出身の小曽根真さんも、日本のジャズピアノ界を牽引する存在です。
ボズ・スキャッグスのカバー「We're All Alone」で見せた美しいピアノ・ソロは、彼の名を日本中に知らしめました。
ジャズピアノの名曲に触れる
上原ひろみさんや小曽根真さんのように、ピアノが主役のジャズ名曲はたくさんあります。
ジャズピアノの魅力や定番曲については、こちらのガイドで詳しく解説しています。

渡辺貞夫など日本人アーティスト
日本のジャズ史を振り返ると、レジェンドと呼ぶべきアーティストがいます。
「ナベサダ」の愛称で知られる渡辺貞夫さんは、日本ジャズ界の第一人者です。
1970年代〜80年代のフュージョン・ブームを牽引し、「California Shower」や「Orange Express」といった、爽やかでキャッチーなメロディを持つ曲は、当時のJ-POPと同じように親しまれました。
また、前述のとおりT-SQUAREやCASIOPEAも、日本のフュージョン・インストゥルメンタル・シーンを創り上げた偉大なバンドです。
彼らの「宝島」や「Asayake」は、もはや日本独自のインスト・スタンダードと言えるでしょう。
有名な日本人女性ボーカル
ジャズ・ボーカルの世界でも、日本には個性豊かなアーティストがいます。
綾戸智恵さんは、ソウルフルな歌声と観客を惹きつけるステージトークで、ジャズファン以外にも広く知られています。
「Tennessee Waltz」や「Amazing Grace」といったスタンダードのカバーが特に有名ですね。
また、1970年代後半から80年代にかけて活躍した阿川泰子さんは、当時のシティポップ・ブームとも共鳴する洗練されたスタイルが特徴です。
「Skindo-Le-Le」や「New York Afternoon」などは、今聴いても非常におしゃれです。
邦楽のジャズ風ヒット曲(椎名林檎)
「ジャズ」という言葉は、厳密な音楽ジャンルとしてだけでなく、「ジャズの要素を持つ格好良い邦楽」という広い意味でも使われている、と私は感じています。
その筆頭が椎名林檎さんでしょう。
キャリア初期の「本能」からジャズや昭和歌謡の要素を取り入れ、映画『さくらん』の主題歌「カリソメ乙女(DEATH JAZZ ver.)」では、ジャズと日本の世界観を大胆に融合させました。
他にも、東京スカパラダイスオーケストラ(スカ)、EGO-WRAPPIN'(昭和歌謡ジャズ)、ORIGINAL LOVE(ポップス)なども、ジャズのテイストをJ-POPに持ち込み、独自のスタイルを確立しています。
「Seppun -Kiss-」(ORIGINAL LOVE)などは、ジャズとポップスが融合した名曲ですね。
J-POPやジブリのジャズカバー
J-POPのアーティストがジャズのスタンダードをカバーしたり、逆にJ-POPやジブリの曲をジャズ・アレンジで演奏したりする文化も、日本でジャズの裾野を広げる重要な役割を担っています。
J-POPシンガーのJUJUさんがリリースしているジャズ・カバーアルバム・シリーズ「DELICIOUS」のヒットは、その象徴です。
また、「夜に駆ける」「Pretender」「Lemon」といった最新のJ-POPヒット曲や、スタジオジブリ作品の楽曲をジャズ・アレンジでカバーしたアルバムは、「カフェで流れる音楽」として定番になっています。
こうしたカバー文化は、ジャズに馴染みがなかった層にとっても、ジャズの魅力に触れる気軽な入口になっていると考えられます。
ジャズの有名な曲、日本の名曲まとめ

ジャズの有名な曲を日本で探してみると、その背景には多様な文化的いきさつがあることが分かりました。
今回のポイントを、最後に整理します。
- 日本での「有名性」は「日本人の曲」と「日本で有名な洋楽」の2種類
- アニメ『ルパン三世』のテーマは国民的ジャズ・ナンバー
- 『カウボーイビバップ』の「Tank!」は海外でも人気
- 『BLUE GIANT』の「FIRST NOTE」で若年層にもジャズが浸透
- 『報道ステーション』の「I am」は多くの人が聴いたピアノ曲
- JR東海「そうだ 京都、行こう。」のCMで「My Favorite Things」が有名に
- 「Take Five」はアリナミンVのCM曲としても知られる
- サントリーなどお酒のCMは「酒とジャズ」のイメージを定着させた
- T-SQUAREの「宝島」は吹奏楽の定番曲として有名
- 映画『スウィングガールズ』で「Sing, Sing, Sing」が吹奏楽の定番に
- 初心者はノラ・ジョーンズ「Don't Know Why」など聴きやすい曲がおすすめ
- 「Fly Me To The Moon」は『エヴァ』のED曲として有名
- 上原ひろみや小曽根真は世界で活躍する日本人ピアニスト
- 渡辺貞夫は日本のフュージョン・ブームを牽引したレジェンド
- 椎名林檎やORIGINAL LOVEは邦楽にジャズ要素を取り入れた
- JUJUやジブリのジャズ・カバーも人気のジャンル




