ジャズマスターとジャガーの違いは？音・仕様・人気モデルを比較

Fenderのオフセットボディギターの代表格、ジャズマスターとジャガー。

そのよく似たルックスから、二つのモデルの違いを正確に把握している方は少ないかもしれません。

この記事では、これからギターの購入を検討している方や、両者の違いに興味がある方に向けて、失敗や後悔のないギター選びができるように、詳細な情報をお届けします。

Fenderのジャズマスターとジャガーは、一見すると双子のように見えますが、その違いは多岐にわたります。

さらに、同じくオフセットボディを持つムスタングとの比較、つまりジャズマスターやジャガーとムスタングの違い、特にジャガーとムスタングの違いについても混乱が生じやすいポイントです。

ジャズマスターとジャガーの音の違いはもちろん、それぞれのジャガー ギターが持つサウンドの特徴についても、詳しく知りたいところではないでしょうか。

また、一部でささやかれるジャガーは人気ないという噂の真相や、逆にジャズマスターが持つ人気の理由、そしてそれぞれが抱えるジャズマスターの欠点やジャガーの欠点についても客観的に解説します。

弦落ち対策として知られるジャズマスターのムスタングブリッジへの交換方法、中古市場で選ぶ際の注意点、さらにはフェンダージャガーを使っているギタリストは誰なのか、といった具体的な疑問にもお答えします。

この記事を通じて、両モデルの魅力を深く理解し、あなたに最適な一本を見つける手助けができれば幸いです。

この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。

スペックで比較！ジャズマスターとジャガーの違い

このセクションでは、ジャズマスターとジャガーの基本的なスペックやサウンド、そしてそれぞれのモデルが持つ個性や評価について、多角的な視点から比較・解説します。

唯一無二の存在感を放つFender ジャズマスター

Fender ジャズマスターは、1958年にフェンダー社の最高級機種として市場に登場しました。

その名の通り、当初はジャズギタリストを主なターゲットとして開発されたモデルです。

座って演奏することが多いジャズミュージシャンのために、体にフィットしやすい左右非対称の「オフセットウエストボディ」が初めて採用されたことは、このギターの大きな特徴となります。

サウンドの心臓部であるピックアップには、従来のシングルコイルよりも大きくフラットな形状の専用ピックアップが搭載されています。

これにより、ストラトキャスターなどとは一線を画す、太く甘い、そして温かみのあるトーンが生まれます。

これがジャズマスターならではのサウンドの根幹を成しているのです。

また、コントロール系統も独特です。

通常のピックアップセレクターやボリューム、トーンに加えて、フロントピックアップ専用のプリセット回路（リズムサーキット）を備えています。

このスイッチを切り替えることで、瞬時に甘くメロウなフロントサウンドにアクセスできるため、演奏中に多彩な音色を使い分けることが可能です。

滑らかな音程変化が魅力のフローティングトレモロも、ジャズマスターの音楽表現の幅を広げる重要な要素と言えます。

特徴的なサウンドを奏でるジャガー

ジャズマスターの発表から4年後の1962年、フェンダー社は新たな最高級機種としてジャガーをリリースしました。

このギターは、当時流行していたサーフミュージックのギタリストをターゲットに据えて設計されています。

いわゆる「テケテケ」サウンドを意識した仕様が随所に見られるのが特徴です。

ジャズマスターとの最も大きな違いは、ネックのスケールにあります。

ジャズマスターがストラトキャスターと同じロングスケール（約648mm）であるのに対し、ジャガーはそれよりも短いショートスケール（約610mm）を採用しました。

これにより弦のテンションが緩やかになり、独特の弾き心地とサウンドを生み出しています。

ピックアップもジャガー専用に新開発されました。

ストラトキャスターのピックアップに似ていますが、「ヨーク」と呼ばれる金属製のギザギザしたパーツでピックアップを囲むことで磁界を整え、高音域が際立つ鋭く攻撃的なサウンドを実現しています。

さらに、コントロール部には各ピックアップのオンオフスイッチに加え、低音域をカットする「ローカットスイッチ」が搭載されており、サウンドバリエーションは非常に豊富です。

これらの要素が組み合わさることで、ジャガーならではのジャキっとした個性的なサウンドが完成するのです。

決定的となるジャズマスターとジャガーの音の違い

ジャズマスターとジャガーの音の違いを決定づける最大の要因は、これまで述べてきた「スケール」と「ピックアップ」の二点に集約されます。

この二つの仕様の違いが、両者のサウンドキャラクターを全く異なるものにしています。

まず、スケールの違いから見ていきましょう。

ジャズマスターのロングスケールは、弦に強い張力（テンション）を与えます。

これにより、ハリとサステイン（音の伸び）が豊かな、芯のあるサウンドが生まれるのです。

一方、ジャガーのショートスケールは弦のテンションが比較的緩やかになります。

このため、アタック感が強調され、サステインは短めになる傾向があり、歯切れの良いカッティングプレイなどに適したサウンドキャラクターとなります。

次に、ピックアップ構造の違いが音に与える影響は非常に大きいです。

ジャズマスターの幅広くフラットなピックアップは、広く拡散した磁界を形成し、豊かでメロウな中低音域を持つ、太く甘いトーンを生み出します。

これに対してジャガーのヨーク付きピックアップは、磁力を弦に集中させることで、高音域が鋭く、輪郭のはっきりしたブライトなサウンドを出力します。

これらの違いをまとめたのが以下の表です。

以上の点を踏まえると、同じオフセットボディでありながら、両者が全く別のコンセプトに基づいて設計された楽器であることが明確になります。

ジャガー特有のサウンドの特徴を解説

ジャガーのサウンドは、他のどのギターとも異なる、非常に個性的な魅力を持っています。

その特徴を最もよく表しているのが、高音域の鋭さと、独特の軽快さを生み出す機能性です。

サウンドの核となるのは、やはり専用設計のヨーク付きシングルコイルピックアップです。

このピックアップが生み出す鋭利なトーンは、しばしば「ジャキジャキ」「チャキチャキ」といった言葉で表現されます。

クリーンなセッティングではガラスのように煌びやかであり、歪ませるとエッジの立った攻撃的なサウンドへと変化します。

この鋭いサウンドは、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくく、ギターの存在感を際立たせる効果があります。

もう一つの大きな特徴が、ローカットスイッチの存在です。

このスイッチを入れると、サウンドの低音域が適度にカットされ、全体がより軽やかでタイトな響きになります。

特にリズミカルなカッティングやアルペジオにおいて効果を発揮し、不要な音域の濁りを抑え、フレーズの輪郭をより鮮明にすることが可能です。

ショートスケールであることも、サウンドキャラクターに大きく影響しています。

弦のテンションが緩いため、ピッキングのアタックに対して弦が程よく暴れるような、少しルーズでワイルドなニュアンスが生まれます。

これがロック系のギタリストに好まれる独特の味わいとなっており、ジャガーでしか出せない魅力の一つと言えます。

なぜジャズマスターには根強い人気の理由があるか

ジャズマスターは、発表当初こそ商業的に大きな成功を収めたとは言えませんでしたが、時代を経て多くのギタリストに再評価され、現在では不動の人気を誇っています。

その人気の理由は、いくつかの側面に分けて考えることができます。

第一に、その唯一無二のサウンドが挙げられます。

フェンダーの伝統的なシングルコイルサウンドとは異なる、太さと甘さを持ち合わせたトーンは、クリーンでも歪ませても存在感があります。

リアピックアップでのジャキっとしたサウンドから、フロントピックアップやプリセット回路を使ったメロウなトーンまで、一台で表現できる音色の幅広さが多くのアーティストを魅了しました。

第二に、その独特なルックスと歴史的背景が人気を後押ししています。

オフセットウエストの流麗なボディシェイプは、他のギターにはない個性的な美しさを持っています。

また、発売当時は不人気だったこのギターを、後のパンク、ニューウェーブ、オルタナティブ・ロックといったジャンルの先駆者たちが積極的に使用したことで、「カウンターカルチャーの象徴」としてのイメージが定着しました。

このストーリー性が、多くのギタリストの心を掴んでいるのです。

したがって、単なる楽器としての性能だけでなく、サウンド、ルックス、そして音楽史における立ち位置といった複数の要素が絡み合い、ジャズマスターの根強い人気を形成していると考えられます。

フェンダー ジャガーが人気ないと言われる背景

「フェンダー ジャガーは人気がない」という言葉を耳にすることがありますが、これは正確には「万人受けするモデルではない」あるいは「扱うには知識と経験が必要な玄人向けのモデル」と言い換えるのが適切かもしれません。

ジャガーが一部で敬遠される背景には、その個性的な仕様に起因するいくつかの理由が存在します。

一つ目の理由は、その複雑なコントロール系統です。

ピックアップセレクターが一般的なトグルスイッチやブレードスイッチではなく、3つのスライドスイッチ（フロントON/OFF, リアON/OFF, ローカット）で構成されています。

直感的な操作が難しく、ギター初心者にとってはどのスイッチが何の役割を果たすのかを理解するまでに時間がかかる場合があります。

二つ目の理由は、ショートスケールに由来する扱いの難しさです。

弦のテンションが緩いため、チューニングがデリケートになりがちです。

また、強いピッキングをすると音程が微妙にシャープしやすく、サステインも比較的短い傾向にあります。

これらの特性を理解し、コントロールする技術が求められるため、弾き手を選ぶ側面があるのです。

そして、ジャズマスターとも共通する「弦落ち」の問題も、ジャガーが難しいギターというイメージを助長している要因の一つです。

しかし、これらの点はジャガーの欠点であると同時に、他にはないサウンドと演奏感を生み出す個性でもあります。

この「じゃじゃ馬」とも言える特性を愛し、使いこなす熱狂的なファンがいるからこそ、ジャガーは生産され続けているのです。

購入前に知るべきジャズマスターの欠点

ジャズマスターは非常に魅力的なギターですが、購入を検討する際には、その構造に由来するいくつかの注意点、いわゆる欠点についても理解しておくことが大切です。

事前に知っておくことで、購入後のトラブルを避け、より快適なギターライフを送ることができます。

最もよく知られている欠点が、ブリッジサドルからの「弦落ち」です。

これは、ジャズマスターに搭載されているヴィンテージスタイルのブリッジサドルが、螺旋状の溝を持つ構造であることに起因します。

現代の一般的なライトゲージの弦ではテンションが不足し、激しいピッキングやチョーキングを行うと弦が本来の位置からずれてしまうことがあるのです。

この問題は多くのユーザーを悩ませてきましたが、後述するパーツ交換などで改善が可能です。

次に、フローティングトレモロユニットの構造上、チューニングが比較的シビアであるという点も挙げられます。

アーム操作と連動してブリッジ全体が前後に動く設計のため、調整が不十分だとチューニングが不安定に感じられるかもしれません。

ただし、これも適切なゲージの弦を選び、正しくセッティングを行うことで、実用上問題ないレベルに安定させることができます。

また、ボディサイズがストラトキャスターやテレキャスターに比べて大きいことも、人によっては欠点と感じるかもしれません。

物理的に大きく、重量も重くなる傾向があるため、小柄な方や軽いギターを好む方は、購入前に一度実際に抱えてみることをお勧めします。

ユーザーを悩ませるジャガーの欠点とは

前述の通り、ジャガーもジャズマスターと同様に、その個性的な設計ゆえのいくつかの欠点を抱えています。

これらの点を理解することは、ジャガーという楽器を深く知る上で不可欠です。

ジャガーにおける最大の悩みどころも、やはりジャズマスターと共通する「弦落ち」の問題です。

ヴィンテージスタイルのブリッジが標準搭載されているモデルでは、この現象が起こりやすい傾向にあります。

ジャガーはショートスケールで元々の弦のテンションが低いため、ジャズマスター以上に弦落ちに悩まされるケースも少なくありません。

加えて、ショートスケールであることに起因する特有の課題も存在します。

一つは、サステイン（音の伸び）が比較的短いことです。

ロングスケールのギターのような豊かなサステインを求める場合には、物足りなさを感じる可能性があります。

もう一つは、ピッチの不安定さです。

弦のテンションが緩いため、強くピッキングしたり、ネックを握り込む力が強かったりすると、意図せず音程がシャープしてしまうことがあります。

これは繊細なタッチコントロールが求められることを意味します。

これらの「欠点」は、見方を変えればジャガーならではのサウンドを生み出す「特性」とも言えます。

サステインが短いからこそ歯切れの良いサウンドが生まれ、ピッチが揺れやすいからこそ独特なワイルドさが表現できるのです。

これらの特性を理解し、自分のプレイスタイルに合うかどうかを判断することが、ジャガー選びの鍵となります。

用途で選ぶ！ジャズマスターとジャガーの違い

ここからは、より具体的なカスタマイズやアーティストの使用例、そして最終的な選び方の指針について解説します。

両者の違いを理解した上で、どちらが自分の音楽性に合っているかを見極めていきましょう。

弦落ち対策とジャズマスターのムスタングブリッジ

ジャズマスターやジャガーのユーザーにとって、長年の課題であった「弦落ち」。

この問題を解決するための最もポピュラーで効果的なカスタマイズが、ブリッジをフェンダー・ムスタング用のものに交換することです。

なぜムスタングブリッジが有効かというと、そのサドルの構造に理由があります。

ジャズマスター/ジャガーの標準的なブリッジサドルは、一本のネジに螺旋状の溝が切ってあるだけのシンプルな構造です。

これに対し、ムスタングのブリッジサドルには、各弦に対して深くしっかりとした溝が一つずつ設けられています。

この深い溝が弦を確実に保持し、激しい演奏でも弦がサドルから外れてしまうのを防いでくれるのです。

交換作業自体は比較的簡単で、既存のブリッジを外し、新しいムスタングブリッジをそのまま取り付けるだけで完了する場合がほとんどです。

これにより、演奏中のストレスが大幅に軽減され、よりプレイに集中できるようになります。

ただし、ブリッジを交換することでサウンドに若干の変化が生じる点には注意が必要です。

一般的に、ムスタングブリッジに交換すると、サウンドが少しタイトでソリッドな響きになる傾向があります。

オリジナルのブリッジが生み出す独特の共鳴やルーズな響きを好むプレイヤーもいるため、どちらが良いかは一概には言えません。

自分の求めるサウンドと演奏性のバランスを考えて、交換を検討するのが良いでしょう。

他にも、より現代的な設計の「マスタリーブリッジ」や、弦のテンションを高める「バズストップバー」といったパーツもあり、対策の選択肢は複数存在します。

フェンダージャガーを使っているギタリストは誰？

ジャガーはその個性的な仕様から、多くの独創的なギタリストたちに愛されてきました。

彼らの存在が、ジャガーという楽器のイメージを形作ってきたと言っても過言ではありません。

最も象徴的なユーザーとして挙げられるのが、グランジバンド、ニルヴァーナの故カート・コバーンです。

彼は改造されたジャガーをメインギターの一つとして使用し、その荒々しくもメロディアスなサウンドで世界中の音楽シーンに衝撃を与えました。

彼の存在によって、ジャガーはオルタナティブ・ロックを象徴するギターとしての地位を確立しました。

他にも、70年代のニューヨーク・パンクシーンを代表するバンド、テレヴィジョンのトム・ヴァーレインもジャガーの愛用者として知られています。

彼の知的でサイケデリックなギタープレイは、ジャガーの持つ鋭いサウンド特性を存分に引き出したものでした。

日本国内に目を向けても、LUNA SEAのINORANなど、多くのギタリストがジャガーを手にしています。

彼らに共通しているのは、既存の枠にとらわれない独創的な音楽を追求している点です。

ジャガーの持つ独特のサウンドとルックスは、そのようなアーティストたちのインスピレーションを刺激し、唯一無二の表現を生み出すための最高のツールとなっているのです。

自分に合う一本は？ジャズマスターとジャガーの違い

ここまでジャズマスターとジャガーの違いを様々な角度から比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきか、その判断基準を整理します。

両者の特性を理解し、自分のプレイスタイルや音楽性に照らし合わせることが、最適な一本を選ぶための最も確実な方法です。

サウンドの好みで選ぶ

もしあなたが、太く、温かみのあるメロウなサウンドや、幅広いジャンルに対応できる柔軟性を求めるのであれば、ジャズマスターが適していると考えられます。

ブルースやポップス、そしてもちろんオルタナティブ・ロックまで、その守備範囲は非常に広いです。

一方で、鋭く攻撃的で、エッジの効いたロックサウンドを求めるのであれば、ジャガーがその期待に応えてくれるでしょう。

キレのあるカッティングや、歪ませた時のザクザクとしたリフを弾きたい場合、ジャガーの持つ個性は強力な武器となります。

演奏性で選ぶ

ネックのスケールも重要な選択基準です。

ストラトキャスターやテレキャスターといった一般的なロングスケールのギターに慣れている方であれば、ジャズマスターは違和感なく演奏できるでしょう。

手が比較的小さな方や、弦のテンションが柔らかいギターを好む方、あるいは複雑なコードフォームを多用する方にとっては、ショートスケールのジャガーが弾きやすく感じられるかもしれません。

フレット間の距離が短いため、指を大きく広げる必要のあるフレーズも押さえやすいという利点があります。

最終的な判断

以上の点を踏まえ、まずは自分の好きな音楽や、理想とするギタリストがどちらのモデルを使っているかを参考にしてみるのも良い方法です。

そして、可能であれば楽器店で実際に両方のモデルを試奏し、サウンドと演奏性の違いを自分の体で感じてみてください。

ルックスの好みももちろん大切ですが、最終的にはあなた自身の音楽を最もよく表現してくれる相棒を選ぶことが、後悔のないギター選びにつながります。

総括！ジャズマスターとジャガーの違いとは

この記事で解説してきた、ジャズマスターとジャガーの主な違いや特徴を最後にまとめます。

ギター選びの際の最終チェックリストとしてご活用ください。

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